脂肪とは
※キャッチ画像は脂肪細胞(引用:nagoya.heart-center.or.jp)
脂肪組織の役割は、脂肪そのものがエネルギー源となる物質ですので、体内にエネルギーを蓄える役割をしていることになります。
ところが最近、脂肪を蓄えている脂肪細胞の組織は、たんにエネルギー貯蔵の役目だけでなく、様々な化学物質(ホルモンなど)を分泌しおり、それが血液に運ばれて脳に到達すると脳の指令に大きな影響を与えることがわかってきています。
つまり脂肪の塊にはマイナス的なイメージが付きまとうのですが、実は脂肪細胞は一つの臓器として非常に重要な役割を果たしているのです。
ここで言葉の整理(油脂、脂肪、脂質、脂肪油って何)
・油脂…漢字の通り、「油」と「脂」が一緒になった言葉。液体の「あぶら」にも固体の「あぶら」にも使います。
化学でも油脂という用語は使います。
講学上、グリセリン(3価アルコール)と脂肪酸の反応(エステル化)で生成したものを油脂と言います。
グリセリン1分子に対して3分子の脂肪酸が結合します。その際、油脂1分子と水3分子が生成します。
・油(あぶら)…日常用語で常温で液体の「あぶら」に使います。
主に植物由来のものがイメージできます。
菜種油、椿油、胡麻油など。
ただ、「油」は一般に広く使える漢字ですね。
一方、「脂」は?
・脂(あぶら)…常温で固体の「あぶら」に使います。やはり日常用語であって主に動物由来のものに使います。
スーパーで販売されている牛肉にも、白い固体の脂がついていますね。
※常温とは20℃前後と考えてください。厳密な数値が決まっているわけではありません。
まあ、水の沸点の100℃や凝固点の0℃ではないということです。
固体の「脂」でも加熱したら溶けて液体になりますから。
・脂肪油…一般に常温で液体のものを「脂肪油」と言います。なので脂肪油=油ということになります。
・脂質…中性脂肪やコレステロールやリン脂質や脂溶性ビタミンなどの総称。
栄養素的に、タンパク質、炭水化物、脂質という並びで使うことが多いです。
・脂肪…脂肪という場合、一般的には中性脂肪や体脂肪、皮下脂肪、内臓脂肪を指します。
動植物に含まれる栄養素の一つで栄養学上では一般に脂質と呼んでいます。
結局、脂肪や脂質はほぼ同義語として使われいるようです。
ここに油脂が絡んできますので、おおざっぱに言えば、脂質>脂肪>油脂のようになるかな。
つまり脂質のカバー領域が一番広いということです。
・中性脂肪…読んで字のごとく、アルカリ性でも酸性でもなく、中性の脂肪ということです。
インスリン抵抗性と脂肪細胞
血糖値が上昇する原因には、膵臓β-細胞のインスリン分泌能力の低下とインスリン抵抗性(インスリン感受性の低下)とがあります。
内臓脂肪が増えるとどうなるか
脂肪細胞の働き
脂肪細胞はエネルギーを貯蔵するだけでなく、さまざまな生理活性物質を分泌しており、それらを総称して、アディポサイトカインと呼んでいます。
このアディポサイトカインには、善玉のアディポサイトカインと悪玉のアディポサイトカインとがあります。
善玉・悪玉アディポサイトカインとは
脂肪細胞に脂質が蓄積して肥大化すると大型脂肪細胞になり、悪玉のアディポサイトカインであるTNF-α(インスリン作用を阻害)、遊離脂肪酸、 アンジオテンシノーゲン(高血圧に関連する物質)、PAI-1(血栓形成に関連する物質)などの分泌が増加することになります。
その結果、善玉アディポサイトカインであるレプチン・ アディポネクチンなどの分泌が低下することになり、インスリン感受性が悪化してしまうのです。
この善玉アディポサイトカインは小型脂肪細胞から分泌されます。
なので、脂質や炭水化物を食べ過ぎると、脂肪細胞内に脂質がどんどん溜まって大型脂肪細胞になり、悪玉のアディポサイトカインの分泌が増えていくのです。
アディポネクチン(善玉のアディポサイトカイン)
アディポネクチンは善玉脂肪細胞から大量に分泌されるアディポサイトカインで、抗糖尿病・抗動脈硬化・抗炎症作用などがあります。
アディポネクチンはそれ自身がインスリン感受性増強ホルモンですが、同時に悪玉アディポサイトカインのTNF-αの増量と機能を抑制します。
このように善玉のアディポネクチンと悪役TNF-αは、お互いの作用を抑制しあっているのです。
そして、それぞれの生成場所である脂肪組織内においても、お互いの生成反応をけん制し合っていることがわかっています。
このように、私たち糖尿病患者には善玉のアディポネクチンが多いほど良いのですが、このアディポネクチンってインスリン注射のインスリンのように作れないのでしょうかねえ。
※次回予告…インスリンはどうやって作っているのかな?
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