若かりし頃、白秋の『落葉松』を読んで、信州に一人旅に出たことがありました。
あれから随分経ちました。
一
からまつの林を過ぎて、
からまつをしみじみと見き。
からまつはさびしかりけり。
たびゆくはさびしかりけり。
二
からまつの林を出でて、
からまつの林に入りぬ。
からまつの林に入りて、
また細く道はつづけり。
・・・あと、8章まで続きます。
白秋は1885 年( 明治18 年)、福岡県柳川市の江戸時代から続く商家に生まれました。(1885年~1942年没)
幼少期は病弱だったため、まるでガラス瓶のように簡単にひび割れそうだと、家族に「びいどろ瓶」というあだ名を付けられていました。
実家は旧家でありましたが、彼が青春時代に火事をきっかけに傾きだし、ついに破産して白秋も借金取りに追われる身となったようです。
そんな白秋が晩年、糖尿病と腎臓病を患いました。
合併症として腎臓病になったんでしょうね。
50 代で眼底出血を起こし、2 年間で3 回の眼底出血。
ついには失明してしまったのですが、それでも執筆活動には積極的で、家族に資料を読んでもらったり、口述筆記してもらい、作品を発表しました。
白秋は夏目漱石より18歳若いので、漱石の時代よりは治療法は進歩していたと思いますが、インスリン投与とか受けていたのでしょうか。
最初のインスリン発見は1921年(カナダ)だったので、インスリンは存在したはずですが、日本の治療現場ではどうだったのでしょうかね。
先ほどググった範囲では、白秋の治療に関する記述は残念ながらありませんでした。
北原白秋生家(福岡県柳川市)
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