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フルクトース(果糖)とグルコース(ブドウ糖)の性質の違い

『糖尿病や肥満の原因は「脂肪」か「糖質」か? 実は隠れた悪玉が インスリン産生細胞を減らさないために』という記事を読みました。
内容はフルクトース(果糖)や脂肪を取り過ぎると体に良くないという話。
そこで今日はフルクトース(果糖)やグルコース(ブドウ糖)について書いてみます。
小腸で栄養を吸収するには、食べ物を消化して小さな分子(フルクトースやグルコース)にしないといけません。でかい分子(デンプンなど)のままでは物理的に小腸の壁や毛細血管の壁を通り抜けることができないからです。
小腸で吸収できる一番小さな分子のフルクトースやグルコースを単糖類と言います。
そしてスィーツに不可欠な砂糖の主成分はショ糖(スクロース)といい、フルクトースやグルコースが1分子ずつ化学結合した分子です。これを二糖類と言います。
なので二糖類は単糖類のおよそ2倍の大きさがあるため、消化液で単糖類まで分解しないと吸収できません。

二糖類とは

  • 単糖類2つが結合してできた糖を二糖類という。
  • 二糖類の分子式は(単糖の分子式であるC6H12O6に2をかけて、結合を作るために取り除かれた水分子H2Oの分を差し引いた)C12H22O11となる。

スクロース(ショ糖)とは

ちょっと専門的になりますが、高校で化学を勉強していたら思い出すのでは。

α-グルコース(表)+ β-フルクトース(裏)→ スクロース

  • α-グルコース(表)の1位の-OHとβ-フルクトース(裏)の2位の-OHが縮合してできた二糖をスクロースショ糖)という。
  • スクロースは、フルクトースの2位にあるヒドロキシ基を縮合に使ってしまっており、ヘミアセタール構造をもたない。
  • したがって、(マルトースやラクトースと異なり)還元性は示さない。

スクロースを加水分解した際に生じるグルコースとフルクトースの1:1の混合物を転化糖といいます。

 

ところでグルコースもフルクトースも単糖類ですので、分子式は同じであって

 C6H12O6 です。
では同じ分子式をもった物質であるのに、グルコース(かすかに甘い程度)とフルクトース(とっても甘い)の性質がなぜ違うのかというと、その立体的な化学構造が違うからです。(原子同士の結合に違っているところがある)
なめてみると、フルクトース(果糖)は砂糖よりも甘いです。
下記のグルコースとフルクトースの原子同士の結合をよくみると、同じではないですよね。
それから、化学平衡という言葉がありますが、グルコースもフルクトースもその化学結合が常に変化していてα型とかβ型とかに分かれているということです。
いずれにせよ、グルコースとフルクトースの立体的な化学結合が異なっているため、その性質が少し違っているということです。

グルコース(ブドウ糖)の水溶液中での平衡

  • アルデヒド型の1位のに5位のが付加することで、ヘミアセタールが生成し、この反応のことをヘミアセタール化という。
  • また、生じたヘミアセタールOHが六員環の上に突き出るものをβ型、下に突き出るものをα型という。

 

フルクトース(果糖)の水溶液中での平衡

 

〈出典:糖尿病や肥満の原因は「脂肪」か「糖質」か? 実は隠れた悪玉が インスリン産生細胞を減らさないために

フルクトースと脂肪をとりすぎると糖尿病リスクが上昇

高脂肪や高糖質の食事スタイルを続けていると、フルクトースが増えすぎてしまい、その代謝産物がインスリンを産生する膵臓のβ細胞の損傷を引き起こすという研究を、カリフォルニア大学が発表している。

高カロリーのお菓子やジャンクフード、清涼飲料からフルクトースや脂肪をとりすぎる西洋型の食事スタイルにより、2型糖尿病などの耐糖能障害のリスクが上昇し、心臓病や脳卒中などの合併症のリスクも高まるとしている。

「2型糖尿病の人では、細胞による糖の取り込みを調節するホルモンであるインスリンが足りていなかったり、その働きが不十分であることが多くみられます」と、同大学テラサキ研究所でシステム生物学を研究しているシリン シェン氏は言う。

「インスリンが十分に働かないと、膵臓から追加のインスリンが分泌され、血中のインスリンが高い状態になりますが、やがて膵臓は疲弊してしまい、インスリンを分泌する能力を失います。その結果、血液中のブドウ糖が増えすぎて、血糖値が高くなります」としている。

高脂肪や高糖質の食事により膵臓のβ細胞が減少

研究グループは、マウスを使った実験で、高脂肪や高糖質の食事を与えると、小腸でのフルクトース代謝が増加し、その代謝中間体であるグリセレートが小腸で多量生成され、グリセリン酸が増えることを確かめた。

マウスにグリセリン酸を注射すると、血糖値が高くなったが、これはインスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性によるものではなく、血中のインスリンが減少するからだと分かった。

グリセリン酸が増えることで、インスリンを産生する膵臓のβ細胞の数が減少し、その結果としてインスリン値が低下することを確認した。

「これまでの研究では、フルクトースのとりすぎは肝臓に悪影響をもたらすことが示されていましたが、今回の研究で、フルクトースや脂肪を過剰に摂取する西洋型ダイエットは、膵臓のβ細胞の損傷と糖尿病リスクの上昇をもたらすことが分かりました。食事でとる栄養を最適化することで、糖尿病リスクを減らすことが求められています」と、シェン氏は述べている。

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